Wednesday, May 28, 2014

先月投稿したレビュー論文は、査読が終わってエディターの判定待ちになったらしい。週末までに返事が来るな。来年度の科研費についても、本日、分野会議があったとこのうわさを聞き、6月上旬に審査結果が公開されるらしい。憂鬱だー。

学部生向けのモデリングコースのために、ここ数日Maximaをいじっていましたが、やっと使いこなせるようになってきました。ところどころではMathematicaよりも使いやすく設計されていり、よい発見もあったのですが、やっぱりフリーソフトなので、かなわない部分が多いですね。多種系のダイナミクスを描きたくても、ndsolveみたいな関数はなく、いちいちルンゲクッタから差分的にリストを作らないといけなくて、種数が増えたり、積分区間が長くなると、すぐにエラーを起こす。グラフの編集や保存、コピーもやりにくい。でも、まぁ、講義で使うには十分です。プログラミング用の講義資料を作り始めます。

これが終わったら、別学部の都市計画学科で新規開講される生態学コースの授業準備もしないといけません。これは分担で、週2コマで4週間分。個体群、群集、理論、淡水の話をする予定です。淡水生態学を入れる理由は、人間活動は湖沼や河川に依存するので、、必然的に湖沼生態系は人為的かく乱を受けやすい生態系となるからです。この週だけは都市計画学科にあった内容にして、まとまりよく終わることを期待しています。このコースには、他に3人の教員がいて、大雑把に括れば、それぞれ生理、行動、景観の専門です。ミクロからマクロへとスケールアップしていくようにデザインされているようです。

Thursday, May 22, 2014

台湾では、大学院生でも講義に出て単位を集めないといけません(日本が特殊なのだと思いますが)。なので、私の講義にも、他の研究室の学生が参加しています。

後期(2月-6月)の間は、大学院生向けに理論生態学の講義を開いています。週一で3コマです。最初の1.5-2時間ほど講義をして、残りの時間は、各回のテーマに関する最近の研究事例を紹介しています。だいたい自分の研究に関連するテーマですが。例えば、

群集の週では、モジュールアプローチによるフェノロジーシフトのモデルや、IGPにおける適応的行動の影響について話しました。

  • Nakazawa T, Miki T, Namba T (2010a) Influence of predator-specific defense adaptation on intraguild predation. Oikos 119: 418-427.
  • Nakazawa T & Doi H (2012) A perspective on match/mismatch of phenology in community contexts. Oikos 121: 489-495.

病気の週では、SIRモデルなどを説明したあとで、媒介者の個体群動態を入れたモデルを紹介しました。

  • Nakazawa T, Yamanaka T, Urano S (2012) Model analysis for plant disease dynamics co-mediated by herbivory and herbivore-borne phytopathogens. Biology Letters 8: 685-688.

齢構造の週では、レズリー行列を解説した後、各パラメーターが密度独立である問題を指摘して、最近のステージ構造モデルについて紹介しました。

  • Nakazawa T (2011) Ontogenetic niche shift, food-web coupling, and alternative stable states. Theoretical Ecology 4: 479-492

空間の週では、レビンズモデルを紹介した後で、現在の学生のプロジェクトや、先日投稿したばかりのモデルを紹介しました。そこでは、非ランダム分散として生息地選好性やl個体成長に伴う生息地移動を考えています。

  • Nakazawa T. Introducing stage-specific spatial distribution into the Levins metapopulation model. submitted

安定性の週では、富栄養化の逆説を解説した後、動物プランクトンの休眠卵のアイディアを紹介しました。

  • Nakazawa T, Kuwamura M, Yamamura N (2011a) Implications of resting eggs of zooplankton for the paradox of enrichment. Population Ecology 53: 341-350.

もちろん、自分の研究紹介だけではなく、イントロで引用するような他の論文も紹介しています。

モデル実技もほとんど無く、宿題も全く課していません。講義の途中で、別のアイディアが無いかと彼らに聞いたり、ディスカッション方式でやっています。講義を聴いただけでは数理モデルの扱いをマスターすることはできないでしょうが、それは期待せず、理論研究の啓蒙活動のようなことをしています。院生には、講義で多くの負担をさせるより、彼ら自身の研究に専念してもらったほうがよいと考えています。それに、週一の講義で頑張ったぐらいでは研究できるほどにマスターできませんし、本当に学びたい院生には個人的なコンタクトを歓迎しています。

来年度の前期からは、学部生向けにモデリングのコースを開講します。こちらでは、もう少し実技を重視します。講義のパートはスライドを使いまわして、後半での研究紹介の代わりに、ソフトウェアを使ったモデルの解析などをさせる予定です。そのほうが、学部生には楽しいでしょうし、数理モデルに興味を持ってもらえれば嬉しいです。今のところ、Maximaを使おうか検討中です。宿題は出さないつもりです。

台湾の学生は学部生も院生も勉強熱心で、大量の宿題をこなしています。忙しそうに見えるのですが、でも楽しんでいるようには思えないんですよね。真面目です。でも、大学に入ったら、最低限の基礎を習得すれば、後は自由に、専門的なことは個人の選択で勉強すればよいと思うのは、K大で染み付いた古すぎる考えなのでしょうか。

Monday, May 19, 2014

原稿は、英文校閲にかけず、勢いよく西のほうへ投稿した。夜に確認したら、もう査読中になってた。これは早い返事が期待できるかも。

さて、やりたいことはやったので、我慢して来学期の授業の準備をしないといけない。学部4回生向けに生態モデリングのコースを新規開講します。これは、統計モデルをやっている同僚の先生と分担ですが、僕が7割ほどを担当します。一学年約50人ほどの小さな学科で、しかも生態学を専攻する学生は例年多くて数人ほどらしく、大きなクラスにはならないので気楽なのですが、院生をリクルートする重要な機会ですので、気合は入ります。

自分が勤めている大学は、南部では一番大きな総合大学で、学生もとても優秀なのですが、大学院でタイダーへと進学してしまう学生が多いらしく、結果として、他大学からの大学院生が多くなります。来年に入っていくる3人の学生も他大学からです。それはそれで良いのですが、他の大学では数理なんて全く教えていないでしょうし、その結果、そのような学生は数理をやりたいというより、入学時には生態学でマスターを取りたいという漠然とした思いしか持っていないように見えます。台湾で数理を広めるためには、数理に対する明確な興味をもって進学する学生を増やす必要があるので、学部での布教が重要なのです。まぁ、いずれにしても放任するのですが。

Wednesday, May 14, 2014

昨日からタイダーから学生が来て、ここ一年やっている共同研究の打ち合わせ。想定外にも、ブレイクスルーがおきて、行き詰っていた問題が解消できてしまった。ストーリーもほぼ固まって、後は執筆の時間を見つけてもらうだけ。彼を招待した本当の目的は、自分の担当する講義で、関連テーマの研究発表をしてもらうことで、そちらのほうも問題なく。招聘した甲斐があった。

一方、今週脱稿目標の原稿も書けた。英文校閲に回すお金が無いので、1週間ほど寝かして、来週ぐらいには投稿しよう。学生の研究も面白く進んでいるようだし、たぶん。

授業で話す自体は楽しいんだけど、教材の準備が面倒くさい。来学期の授業の準備を始めないといけないのが、最近の悩み。

Friday, May 9, 2014

こちらは梅雨に入りました。農業地帯なので雨は大事です。
日本人が作ったダムがまだ活躍しています。
八田與一と烏山頭水庫(台南市)

筆を置くはずが論文原稿を書いています。残りは、議論の最後の締めの一段落とアブスト。来週中にゼロ稿を仕上げるのが目標です。授業はアドリブで乗り切ります。

台南はグルメの町といわれているので、最近は、井之頭五郎に憧れながら、食べ歩きをするようにしています。「はふはふ、うまいうまい」、「おや、そうきたか」、とか口に出しては言わないけど、想像しながら、新しいお店を開拓しています。

でも、雨が降ると、街歩きが億劫になりますね。

それと、雨が降ると、学生は研究室に来ないです。


Monday, May 5, 2014

なんだ、環境女子会って。

さて、今週と来週は講義週間です。準備(最終仕上げ)をしないといけません。
火曜:学部専門の生態学(2h)
水曜:大学院の理論生態学(3h)
木曜:学部専門の生態学(1h)
月曜:一般教養の生態学(2h)
分担授業はほぼこの週に入っているためです。普段はこんなに忙しくないです。講義は英語ですが、内容はかなりかぶっているので何とかなります。その他、セミナーが2,3個あります。

そういうわけで、執筆中の原稿は、結果まで書いたところで足止め。

先日、タイダーの学生が台湾南部でスキューバダイビングの免許を取りに行くからと、ついでに台南に立ち寄った。彼の希望でサメ鍋というものを初めて食べに行った。自由に具材を放り込むシステム。サメはあまり味はしないし、ヒレが高い(注文後に気づいたがサメのヒレはフカヒレだ)。無難に豚肉や他の海鮮で十分おいしい。

その彼は明日オーストラリアへ旅立つ。PhDのために珊瑚礁を研究しに行くらしい。とても優秀で、きっと将来の台湾生態学のキーパーソンになるだろう。寂しくて、酒に飲まれなければ。

オーストラリアは行ったことないけど、3日で十分だ。