Monday, December 30, 2013

新年快楽

何度も言ってきましたが、こちらでは旧正月をお祝いします(今年の元旦は1月31日だそうです)。なので、今日も明日もただの平日で、1月1日だけは祝日です。今日もまだセミナーがあります。

今年最後の大仕事、年末締め切りの研究計画書は、先週無事に提出しました。肩の荷が下りました。結果はいつぐらいになるのかな。

そういうわけで、冬休みに入ります

コタツに入って、グアバでも食べながら、新しいモデルを作ります。

みなさん、良いお年を。

Sunday, December 22, 2013

好久不見

金曜、早朝の新幹線で台北へ。およそ5ヶ月ぶりの台北。

タイダーの生命科学部で院生向けのセミナーで発表してきました。発表練習は全くしていないのですが、そのわりに上手く話せたような気がします。こちらで何回かレクチャーしてきた成果でしょうか。セミナー後は、お気に入りの牛肉麺をご馳走してもらいまして、古巣の海洋を訪れ、夜は飲み会。

ついでに学生と研究打ち合わせ。そのうちの一人の学生がオーストラリアのとある大学から奨学金を得て、来年から博士課程に進学できることに。恭喜恭喜。彼は台湾で一番優秀な統計生態学者だと思っていて、早く学位を取って台湾に戻ってきてほしいです。

森林では同窓会のに会があったらしく、D先生や何人かの知り合いの人も合流。夜まで飲みすぎた。その日はホテルに泊まり、翌日は小籠包と讃岐うどんとデザート、コーヒーを堪能して台南へ。あー、眠たい。

来年の夏の日米合同数理生物学会でシンポジウムを企画するべく(台湾からもという圧力を感じて)、台湾の先生に声をかけて準備中。

来月の台湾の生態学会には、まだ結果も出ていない学生たちにも発表するようにエンカレッジしつつも、彼らのアブストとかを見る余裕がないので、何かナーバスになっていますが、彼らの相互チェックに任せています。リジェクトされたらされたで、それも経験でしょう。というのは自分の経験から得たこと。

クロコーチも終わり、リーガルハイも終わり、特番の季節になりましたが、旧正月を祝う台湾では年末気分も盛り上がらず、それどころか年末年始もいろんな仕事がありそうです。年末までトークが4つ。早く地球防衛軍見たいわ。



ESJでH大のKSDさんとシンポジウムを企画します。

シンポジウム S01 -- 3月15日 9:30-12:30 A会場
Invitation to body size-based community ecology
企画者: 仲澤剛史(国立成功大・生命科学), 岸田治(北大・北方圏FSC)

Almost all organisms on the earth are multicellular and exhibit ontogenetic growth. Notably, body size is the most fundamental aspect of an organism, largely determining its behavior, physiology, and life history, as known as ontogenetic niche shifts. Further, body sizes of interacting organisms (e.g., predator and prey) critically affect their interaction strength. Thus, body size can strongly influence community structure and dynamics. Nevertheless, our body size-based understanding of ecological community remains poor, because community ecology is traditionally species-based. Body size-based approaches is currently needed for a better understanding of mechanisms underlying biodiversity maintenance and disturbance response of ecosystems. The primary aim of the symposium is to illustrate the general importance of body size-based approaches in community ecology, to introduce recent progresses in this research field, and to discuss and share future perspectives within a wide range of ecological researchers.

Commentator: Michio Kondoh (Ryukoku University)

[S01-1] Ontogenetic development: the unique, ecological process we tend to ignore  André de Roos (University of Amsterdam)

[S01-2] Thinking inside the box: community-level consequences of stage-structure populations  Volker H. W. Rudolf (Rice University)

[S01-3] The effect of individual-level variations of predators and prey body mass on food-web structures in a temperate stream  Hikaru Nakagawa (Kobe University)

[S01-4] Causes and consequences of predator size-structure: experimental studies of cannibalism of larval salamander  Osamu Kishida (Hokkaido University)

[S01-5] Predator-prey body-size relationships for parameterizing size-structured food webs  Takefumi Nakazawa (National Cheng Kung University)


1500人収納可能な大部屋だそうです。
場所も時間もメンバーも最高です。
やる気が出ます。

Friday, December 6, 2013

冬到来?

めっきり寒くなりました。昼に30度を上回りません。短パン・サンダルではなくて長ズボン・靴の季節です。ここは亜熱帯ではなく、熱帯です。

こちらでは学部2回生が授業の一環で2つの研究室を一ヶ月ごとに回るというインターン制度があります。そこで、実験の手伝いとかをするようです。理論研究室では、特にそのようなことも提供できないので、セミナーに来てもらう程度です。先月は1組目を終えまして、もうすぐ2組目が来るころかなーと思っていたら(学生たちは不意に登場します)、一人の学生がやってきて、「お、来たか」と思っていたら、どうやらインターン生とは違うらしく、「理論生態学に興味があるんですけど。。。」と緊張しながら話し出しました。どうやら、まだ本格的に興味があるわけでもないらしいが、自主的に何かを学びに来たらしい。もちろん大歓迎。聞いてみると、ほかの大学の数学科で1年間を過ごした後、こちらに編入してきたらしい。何というすばらしい人材。そして若い。まだ2回生。院生向けの教科書を貸すと、「ここがわからないんですけど~」とか言いながら聞きに来てくれます。もし彼が理論生態学を気に入ってくれれば、生態学・プログラミング・数学を勉強してきた学生3人がそろって完璧のチームが編成できます。

年末に向けて科研費プロポーザルを直さないと。間に合うかな。

興味の無いことをするのも一つの生き方ですが、興味の無いことは無数にあるので、結局やることは興味のあることです。興味が無いわけではないです。

台湾での生態学会の情報です。締め切りは12月23日。開催は1月20・21日。場所は台中市。大阪から、飛行機乗って新幹線乗って5時間ほどです。日本からも来てもらえると楽しいです。参加費1500円。
2014年動物行為暨生態學研討會(Congress of Animal Behavior & Ecology)

Nで始まる商業雑誌の原稿を査読することになりました。短いのに妙なプレッシャー感じる。

今週は、Q大のIWAさんに来てもらってセミナーをしてもらいました。生態以外や他学部からも聴衆が集まり盛況でした。学生とも話してもらって良い刺激にもなりました。お蔭様でこちらでの数理の立場が向上したように思います。途中で副学長が登場(乱入?)して名刺交換があってびっくり。


Tuesday, November 26, 2013

近況報告

時間が空いてしまうと、なかなか再開する元気が出ないのですが、そろそろ月末なので何か書きたいと思います。

本日は、台北にいた時の知人で、私と同時期に中部で就職した7が台南に来まして、ゲノミクスの発表をしました。そんなこともしていたのですね。その後、私のオフィスで、同僚のIや別学部の魚の先生も呼び出しまして、北部でZが主催する環境セミナーに対抗するような、南部での生態学関係のグループを作ろうと企んでいました。

今月は、授業の準備を継続しつつ、週二回のインフォーマル講義と、行動生態の講義、国際クジラシンポジウムでの発表、査読などをしつつ、学生の研究テーマに関連した論文を読んでいました。学生が研究テーマを決めつつあります。基本的に自由に決めさせていて、今のところは試行錯誤で右往左往させて放置していますが、「こんなこともできるんじゃない?」と言える程度には自分も勉強しないといけません。最近の進化理論とか全然フォローしていませんので。

一人の学生は生態学のバックグラウンドがないお陰か、テーマをあっさり決めて、でもそれが結構面白いアイディアになりそうで楽しみです。もう一人は、生態学のバックグラウンドがあるせいか、ちゃんと論文を読んで自分のテーマを決めようとしていて(そう指導しています)、でも似たようなテーマで論文も山ほどあるので、結果としてなかなか決めにくい状況に陥っています(自分のせいかも)。どちらも来月中にはテーマを決めて、1月の台湾の生態学会で研究計画発表をさせるつもりです。結果無しなので学生はビビッている感じですが、「オッケーオッケー」と言いながら、何事も経験です。

自分のほうは、来月は、年末に向けて研究計画書を練り上げなければいけません。後半はセミナーや授業なのが立て込んでいますので、そろそろスパートをかけないといけません。それと、そろそろオフィスにPCやいろんなソフトが届くはずです(遅い。。)。そしたら、学生の研究も授業の準備もはかどるでしょうか。

そろそろ短パンの季節が終わりました。

Tuesday, October 29, 2013

今年ももう残り2ヶ月

またまた時間が空いてしまいました。この2週間、中華生物学会での講演、行動生態学での講義、ラボセミナーでのトーク2回をこなしました。全部英語なので、それなりに準備も大変です。英語を磨くのはもう大変なので、それはほぼ諦めて、英語は適当だけど何か良いこと言ってるようだ、と思わせる作戦にしました。もうこちらでは、英語の化けの皮が剥がれてきています。

来月の講義も少し練り直さないといけないし、査読もあるし、また別のシンポジウムに招待されてしましました。
海洋生物と鯨類に関する国際シンポジウム
何を話したらよいかわからなったけど、とりあえず海のPPMRについて話します。

先週末は、タイダーの学生2人が研究打ち合わせに来てくれました。問題点を確認し、解決法を提示。とりあえず、ビールを飲みに行きました。大阪から送った救援物資も届いたので元気回復。

右上で眠そうにしています
講演料1000元貰いましたが、入会費年会費で800元取られました

Thursday, October 17, 2013

個体群生態学会、終了

無事、大阪から戻りました。

堺東のホテルについてまず、天下一品のラーメン(こってり)を食べに行きました。3月の静岡では、近所にお店が見つからず、堺東に宿泊してそっこう食べに行きくことができました。出国直前の最後に食べたのも天一(あ、今も食べたくなってきた)。堺東には高島屋もあって、調味料や和菓子やお酒などをたっぷり買うこともできました。それから、堺東には休日でもやってる大きな郵便局がありますので、台湾へお土産をダンボールにつめて送りました。そういうわけで堺東に宿泊したのですが、今年もっともうまくいった計画的な行動でした。ちなみに、昨年の暮れに北海道に行って最初に食べたのは讃岐うどんでした。日本に行ったら、その土地の名産よりも昔に食べていたものが食べたくなります。

学会のほうですが、久しぶりの日本語での発表(というか、会話)だったので、呂律が回らなくなりそうになり、変な緊張感がありました。人の写真を出してすべるなんて事故も起こしてしまいました。でも、伝えたいことを伝えられたので、それは満足。15分で、論文9本文の話はちょっと詰め込みすぎたかもしれませんが、サイズベースの生態学の面白さや重要さ、新しさを何となくでも理解してもらえたでしょうか。幾つかの共同研究ネタが得られたので、それも大きな収穫でした。

あらためて、皆様に感謝申し上げます。


Tuesday, October 8, 2013

10月の近況報告

やっと、やっとオフィスの改築が終わりして、使えるようになりました!。

床を張り替えたり、デスクを搬入してもらいまして、掃除もしました。PCとか備品はまだそろっていないので、まだ完成ではないですが、新しいオフィスで落ち着いて仕事ができそうです。壁のペンキのケミカルな匂いもちょっと嬉しく思えてしまいます。写真は後日、お見せします。

今いる学科は古い建物を使っています。スペースもあまりなく、実験系の研究室では(ほとんどですが)、大きな機械がたくさんあって、スペースに困っているように見えます。また、それらの実験機器はとても高価だと思います。そんな中、この理論生態学研究室では、場所もお金もあまり必要とせず、結果として居心地の良い場所を用意することがきました。色んな人が部屋を覗きに来ます。

来学期の新規授業(理論生態学)の開講申請を提出しました。その授業の10数回分の講義スライドやレジュメはほぼ作り終わりました。あとは演習パートとして、モデリングか、プログラミングか、理論論文のプレゼンを取り言えれる予定です。それは来学期になってから参加人数と彼らの興味を確認してから考えようと思います。

年度末にいくつかのシンポジウムやセミナーの招待をいただきました。ついでに代理講義もいくつか依頼されました。ここ2ヶ月はひたすらスライド作り、事務書類作りばかりです。タイダーの学生との共同研究が進行中ですので、彼らのとのディスカッションが楽しみです。

11月中旬から12月中旬にかけて世界のIWSさんが台湾で客員教授として滞在されるようです。良い機会でしたので、学科セミナーの招待講演者としてお願いすることにしました。そしたら査読論文が回ってきました。

2人の学部生が1ヶ月間ラボに実習にやってくることになりました。これは演習授業の一環だそうです。聞いていなかったので、急に登場してびっくりしました。でも、大歓迎です。何をするのかは研究室ごとに違うようです。実験を手伝ってもらったり、論文を読ませたり、レクチャーをしたり。自分の場合、まだオフィスもできていないし、学生の研究課題も構想段階だし、手伝ってもらうこともありません。なので、しばらくは、気が向いたらお昼を食べにきてもらって、英語でチャットしながら文化交流をしつつ、後半は理論生態学の簡単な紹介をするだけになりそうです。個人的にはそれで十分に楽しいのですが、今は何かできる環境じゃないので申し訳ないです。

いくつかネガティブイベントが。

明後日から個体群生態学会で一時帰国します。旅仕度もプレゼン準備もまだです。なのに、これから準備というときに、ラップトップのバッテリーが死にました。旅路に準備しようと思っていたのに。とりあえず、パソコン街のお店に行って、無償交換できるか、できなければ至急、注文してもらうようお願いしました。これくらいの会話は、片言の中国語で交渉できるようになりましたが、忙しいときには精神的に疲れます。

それから、今年度の科研費(来年7月まで)、落ちました。じぇじぇじぇ!(ドラマを見ていないので、使用方法があっているのか不安。)スタートアップ資金がまだあるし、今年使わなかったお金は繰り越しているので、研究の上では問題はないのですが、12月に新しい研究計画を提出して、来年度(8月から)はもらえるようにしないといけません。何より、一番問題なのは、こちらのレフリーの人が好みそうな書き方がまだいまいち掴めていない事です。学会やシンポジウムなどでも理論研究はときどき批判されます。どこのどの種を保全したいのだと。海外の事例研究についても、そういう例もあるんだねで話が終わって、それを一般化して、自分の系と比較するという考えはほとんど通じないように思えます。台湾のどこぞの生態系モデルを作るという限定的な計画でないと通らないのかと悩んでいます(そういえばZも赴任直後は似たようなことを愚痴っていました)。どうしたらいいか、解決策は見えませんが、とりあえず、

やられたらやり返す、倍返しだ!

Thursday, September 19, 2013

近況報告

今週より今年度前期の授業が始まりました。キャンパス内を歩く人の数も急に増えて、朝の通勤時のバイクラッシュもますます激しくなってきました。

前期の担当授業の予定は、多くの方々の配慮のお陰でかなり軽減されていました。その分、来学期の授業準備と来年度の研究計画に時間を費やすことができます。前期は、オフィシャルな授業は週に2コマだけです。フレッシュマン向けのセミナーと(約60人)、外国人院生向けのセミナー(約15人)。そういうわけで、「授業」(と学生が思っていもの)に人生で初めて参加しました。とくに新入生セミナーの感想は、「みんなこっち見てきよるわー」。リアクションもめっちゃ良い。「こんにちは」と言えば、ちゃんと全員で「こんにちは」と返してきます。自分が醜い大人に思えてきます。

彼らはつい最近まで高校生で、大学に入って何か凄いことができるはず、挑戦したいと夢を持っているはず。自分もそうだった。でも、実際に学部でやることは、高校の授業の延長線上だったり、教員の個人的な研究内容だったりする。本当に凄いことは、研究室に所属して何年か自分で研究してみて、ほんの少しだけ見えるか見えないか程度。入学時に抱いていた夢が、妄想や無知のようなものだと今ならわかるけど、新入生を目の前にしてそんなことは言えない。彼らに対して、自分は何をできるだろうか。

来学期の授業の準備は4割ほどでしょうか。開講申請はできるように計画は立てましたが、スライドの作製も始めています。後期になったらなったで、来年度前期の新規授業の開講計画を立てなければいけません。「できることはできるうちに」がモットーです。

オフィスはまだ完成していません。先週に工事が始まって、不用品の搬出と、壁が綺麗になったところまでです。これから床を木張りにして、デスクやPCを搬入しなければいけません。今も仕事は倉庫でしています。まだまだ非日常運転です。

10月10-13日に大阪に行きます。チケットを買いました。帰国してもすぐ回台湾です。研究費がまだないので、学部長にお金を出してもらいました。今の学部長はタイダー生命科学の前学部長で、日本で学位を取った方なので、何かと優しそうです。

3月のESJで外国人研究者の招聘費用の申請がパスしまして、シンポジウムを開催できることになりました。初めて企画というものをやります。今までモチベーションの高揚と申請時期が一致せず、ずっと見送ってきました。もう後戻りはできないので、少なくとも半年はモチベーションを維持しないといけません。

本日は中秋節で休日です。まったり仕事します。

Saturday, September 7, 2013

今月の予定

とりあえず授業の準備です。中途半端に残している研究ネタがいつも頭をよぎるのですが、しばらくはそれを忘れることにします。でも、教えることもやり甲斐のあることなので、苦ではありません。エキサイティングです。この先の目標は、理論生態学を台湾で根付かせることです。そのためには、理論生態学の面白さを学生に伝えなければいけない。やりたいと思わせると同時に、そういうことをやっている人を評価する雰囲気を作りたいです。

でも、数理の授業(英語)は、生き物の写真が満載の他の生態学の授業(母国語)に比べたら、きっと詰まんないだろう。って学生が思っているはず(自分もそう思う)。数理の授業は基本的に面白くない。学会発表もそう。数理の発表はが一番面白くない。聞くだけだと、説明が早過ぎて、難しいことは頭に入ってこない。結果だけ聞いて、そういう結論なんだなぁって何となく理解して、でも家庭とか前提とかは理解してない。ある程度の素養がないと数理の話は眠くなる。数理は、自分で考えて数式やモデルをいじり始めてみると、意外と面白い気がします。人がパズルをやっているのを見てもつまんないけど、自分でやると面白いみたいな感じだろうか。そんな面白さを何とか伝えたい。

良い授業をすれば、学生が付いてくるはずと信じて、ちゃんと準備しようと思っています。それに、最初の年にちゃんと準備できれば、後の数年はラクできるだろうし。数年前に着任した他の人は「一年目はタフだった」と言っていた。これから冬に向けて前期授業が本格的に進んで、院生の研究プロジェクトも立ち上げなければいけないし、年度末は来年の研究費計画書を申請する時期です。だから、今頑張らなければいけない。そう言い聞かせて、研究を放置しています。観光とかグルメとか全然できてなーい。

近所の海岸です。

Thursday, August 29, 2013

授業準備中

着任後の雑務は片付けつつありますが、まだオフィスは完成していません。久しぶりに場所を覗いてみたら、何も進んでいませんでした。もう驚きはしません。いまだに空き部屋待機中です。

9月中旬から前期の授業が開始します。そういうわけで、先週からその準備をしていました。まずは大学院生向けの行動生態学の講義(分担)です。まずは理論生態学の一般的な意義から始めて、行動生態学における三つの理論的手法(最適化、ゲーム理論、動的計画法)の概念を説明します。その上で、採餌行動と繁殖・交配に関する簡単な数理モデルを紹介する予定です。雑談は多めです。実証研究については、それ専門の人が担当してくれます。

それから、理論生態学の授業の準備もしないければいけません。これは後期の授業になりますが、新しい授業を開講する場合は事前審査があるようなので、早めに準備をしなければいけません。学生にも実践してほしいので、これを機にMatlabに手を出そうか検討中です。

それ以外に、学部・大学院生のセミナーもありますが、こちらは特別な準備がいらないようです。

行動生態学も理論生態学も、私が勉強したのは学部生の時でした。理学部生ではありませんでしたが、大学院入試がありましたので、独学でやりました。そのため、学部の生態学の授業がどのようなもので、どの程度を勉強すればよいのか良くわかりませんが、日本やタイダーの雰囲気から想像すると、生態学の専門講義を聞くのが大学院というのは、ちょっと遅いような気がします。他の大学院に進学するにしても研究に出遅れてしまうのではないだろうか。学部で理論生態学の基礎を学べる機会を作りたい!

Thursday, August 22, 2013

台湾の公募に出す

日本では、JREC-INや関係する学会関係のメーリングリストから回ってくる案内が主な情報源だと思います。台湾だと、日本でいうところのJSPSのような組織(NSCと言います、お笑い学校ではないです)がたくさんの公募情報を仕切っているようです。全ての公募情報が網羅されているとは思いませんが(私立大学や臨時職など)、国立大学や政府関係の研究機関の研究職の公募情報はおそらく全て公開されていると思います。

行政院国家科学委員会(National Science Council)の公募掲示板

もちろん中国語です。残念なことに使い勝手が悪いです。キーワード検索機能はありますが、分野などの絞り込み機能はありません。TAや事務職から研究機関長までカバーしていますが、役職の絞り込み機能もありません。なので、見落としリスクを避けるために、結局全部に目を通すことになります。最初は、頑張って意味を想像しながら一行ずつ理解しなければいけません。募集件数も多くて大変ですが、ちょっとしたコツと言葉の知識があれば大丈夫です。それを今日は伝授します。

まず、ほとんどの公募は以下のような順番で情報を提示しています。

【大学名】+【部局名】+「募集していますよ」って意味の中国語+【役職名】+【人数】

大学名は「○○大學」と書かれています。これは分かりやすいですね。

部局名は色々あります。「○○研究所」や「○○研究室」などは分かりやすいですが、いくつか慣れない言葉もありますね。
研究中心=>研究センター
學系=>学科

「募集していますよ」って言葉は、「誠徵」や「徵」の字が付いています。「徵聘」や「急徵」、「徵才」など。

役職名は研究職の場合、助理教授=>助教、副教授=>准教授、教授=>教授と訳してください。「助理教授以上」という場合、これら三つが該当します。役職を特定しないと、「教師」や「師資」のように書いてある場合もあります。その他の役職名も良く読めば理解できると思います。
博士後研究員=>ポスドク
研究助理=>リサーチアシスタント
研究生=>大学院生
碩士班=>修士課程
博士班=>博士課程

あとは、分野名を理解しておく必要があります。「生態学」は「生態學」で、そのままです。試しに「生態」でキーワード検索すると(ページ上の關鍵字查詢ボックス)、5件ヒットしました。

1 靜宜大學生態人文系誠徵國科會計畫研究助理一名 2013/08/12
2 東南科技大學102學年度第2學期觀光與生態旅遊系公開徵聘專任教師 2013/07/04
3 國立台灣海洋大學海洋環境化學與生態研究所誠徵教師壹名 2013/06/28
4 國立臺灣大學森林環境暨資源學系徵聘專任教師2名 2013/05/30
5 國立中興大學國際農企業學士學位學程誠徵專任教師 2013/03/15

「國科會計畫」というのは研究費の出所で、国の研究費で雇うアシスタントです。2~5番目は研究(教員)職です。これらの公募に出したいという方がおられるかもしれませんが、それぞれの情報をここで紹介することはあえてしません。なぜかというと、外国人(日本人)が採用されるかどうかが大きな関門になるからです。

台湾では、一部の上位校と言語関係の公募を除き、外国人が採用される見込みはほとんどないと思います。上記の5つの場合だと、三つの国立大学が可能性があると思います(国立大学全てに可能性があるというわけではなく、三つの大学がそれなりによい大学とされているという意味です)。この公募掲示板は台湾人が見るという前提であるため、全て中国語で書いてあります。外国人が採用される見込みがあるかどうかは、可能性のある大学のサイトで確認する必要があります。

実際に台湾大学の森林学系のサイトに行って「徵聘專任教師公告」をクリックすると、ページの下の方に英語での募集要項が見つかります。中興大學でも見つかりました。こうやって、外国人が採用される見込みがあると確信できます。しかし、台灣海洋大學では、中国語だけでしたので可能性は低いです(PDFリンク)。どこ大学が可能性があるのかは、この辺を参考にしてください(台湾の大学ランキング)。

ちなみに、台湾大学森林学科には日本人教員が既に一人いるので、難しいかもしれません。その人はとても良い人なので、もう一人日本人を採用しようという可能性も無きにしも非ずですが。この公募は、締め切りが2月10日で、採用予定が来年の8月1日です。まだ時間がありますね。

Friday, August 16, 2013

読書週間

台湾で日本語の本を買うと、日本の値段の1.5倍近くもします。最近はずっと、日本語の本を読む機会がありませんでした。年に2,3冊程度。帰国ついでに文庫本を買う感じで。それでも空港と機内で消化してしまいます。研究に関係ない本を読む時間や心の余裕もなかったかもしれません。(お笑い番組は欠かさず見ているのに)。紀伊国屋などが台北にありますが、台南には見つかりません。

今週は、生態学関係の日本語の教科書を何冊か読みながら、今学期の授業についてちょっと構想しました。学部や大学院時代に読んだけど研究ではほとんど使わない本がけっこうあっては、今まで何度か引っ越してきた中でそれらの本は実家の倉庫に眠らせてきました。段ボールで3箱分ぐらいあります。今回、それらを取り寄せて、久しぶりに目を通していると、若き日の自分を思い出します。変なところに線が引いてあったり、意味不明のメモがあったり。研究で生きていこうと決めたころの思い出です。

それと、最近、鹿野忠雄という人を知って、その人に関する伝記本を読んでいます。日本統治時代に台湾で活躍したナチュラリストです。学部の時の恩師であるKTさんに教えてもらいました。彼の足跡はぜひフォローしておいてください、って。でも、まだ読み始めの途中ですが、中学・高校時代の話ですでに破天荒極まりないです。中学卒業後は浪人して台湾の高校に行ったり、でもフィールドに行ってばかりで留年したり、親から研究資金をだまし取ったり、日本統治に対する抵抗運動もあった時代に原住民の言葉を覚えて一緒に狩りやサンプリングをしたり、英語で論文発表していたり。今からでもそんな人物にはなれないそうにないので、せめて彼が行ったところをいつか訪れることで、足跡をフォローしたことにしようと思いながら、とりあえず本だけでも読んでいます。

東京生まれの博物学者。 理学博士で昆虫学者、探検家。 業績は多岐にわたり、生物地理学者、文化人類学者、民俗学者、または近年ではナチュラリストなどとしても知られる。 台湾を中心に東南アジアでさまざまな研究調査活動を行い、第二次世界大戦終戦直前の1945年夏、ボルネオ島北部で行方不明になり消息を絶った。当時38歳。 主な著書に『山と雲と蕃人と』などがある。ウィキより

この人も台湾でより認知されているのかもしれません(中国語ウィキ)。

Tuesday, August 13, 2013

新規メンバー加入しました

週末は車で田舎のほうをブラブラしてきました。台湾マンゴーの名産地玉井でマンゴーカキ氷を食べて、道端の屋台でパイナップルをつまみ食いして。それから、近くにある烏山頭ダム公園へ。このダムは、あの八田與一が活躍したところです。

日本よりも、彼が実際に業績をあげた台湾での知名度のほうが高い。特に高齢者を中心に八田の業績を評価する人物が多く、烏山頭ダムでは與一の命日である5月8日には慰霊祭が行われている。また、現在烏山頭ダムにある八田の銅像はダムの完成後の1931年(昭和6年)に作られたものである。住民々意と周囲意見で出来上がったユニークな像は、元々固辞していた八田本人の意向を汲み台座は無く地面に直接設置され、その後国家総動員法に基づく金属類回収令の施行時や、中華民国の蒋介石時代に日本の残した建築物や顕彰碑の破壊がなされた際も、地元の有志によって守り隠され続け、1981年(昭和56年)1月1日に再びダムを見下ろす元の場所に設置された。今は台座上に修まる銅像の経過や、八田が顕彰される背景、業績もさることながら、土木作業員の労働環境を適切なものにするため尽力したこと、危険な現場にも進んで足を踏み入れたこと、事故の慰霊事業では日本人も台湾人も分け隔てなく行ったことなど、彼の人柄によるところも大きく、エピソードも多く残されている。(ウィキより)

でも、やっぱり、炎天下のなか、外を歩き回るのはしんどいですね。野外観光は秋以降にしたいと思います。まずは冷房施設が充実していて休憩場所の多い市内から攻めるべきでした。

さて、週が明けまして、研究費を申請しました。 初めてでしたので、申基本情報の記入ミスやら何やらで、なかなか手こずりましたが、無事、完了しました。それと併せて、学内の新任教員用の予算も申請しました。こちらは10万元ほどです。事務の人には、やること早いね、と言われています。PCや備品の購入についても、複数業者さんから見積もりを貰いまして、発注もしました。

それから、先週訪ねに来てくれた新M1の学生がまた訪問してくれました。以前に渡した文献などを読んでくれたようで、それらに関していくつか質疑応答をしました。思ったよりもモチベーションがありそうで、卒業後の予定とか、研究室の選択についてちょっと突っ込んで聞いたら、即答でいくつか重要なことを教えてくれました。

・ 研究の世界で生きて生きたい(この具体的な意味はまだ聞いていませんが)
・ 修士取得後は、できればドイツに行って研究したい(羨ましい!)
・ ~というテーマで研究したい(かなり具体的)
・ 理論生態学研究室に入ることを決めた

え、え!

というわけで、初めてで指導学生ができてしまいました。学科のHPには私の詳しい情報はまだ掲載されていなくて、初年度は学生と研究はできないだろうなぁと心配していたのですが、意外にも。しかも、モチベーションも高く、暇な夏休みは論文や教科書も自分で読んでおくとか。生態学のバックグラウンドがないのがネックですが、Matlabは使えるときてる。英会話も問題なし。研究テーマについても、キーワードで検索しても全然ヒットしないので、少なくとも新規性は保障できそう。研究室の改築が終わって、私の荷物や雑務も片付いて、その間にざっと独学してもらえたら、すぐに打ち合わせできるのではないだろうか。年明けの台湾生態学会、もしくは来夏のJSMB&SMB 2014を目標にしていきたい。

玉井青果市場ではいろんな種類のマンゴーがかご売り

Friday, August 9, 2013

今週も非通常運転です

台湾では着任後にまずすることは、オフィスのデザインと書きました。つまり、オフィスの改築が終わるまでの約1ヶ月は、自分の場所がなく、どこかの空きスペースで仕事をすることになります。数年前にタイダーにMKさんが着任された時は、学生の実験室に最初に同居することになり、初日から「うるさい」と愚痴って、学生を怖がらせていました。

自分の場合、なぜかお偉いさんに気に入られて、学科長室の隣りの応接間をあてがわれました。革張りの椅子はまぁ良かったのですが、何か知らん人が居心地の良い部屋をずっと占領しているとい思っていそうな視線が、廊下を歩く人から向けられていました。それが先週です。そういうわけで、今週は別の空き部屋へお引越しをしました。多少、部屋の居心地は悪くなりましたが、落ち着きます。

今の一番の仕事は、研究計画書の応募です。ほぼ書けたので、こちらの人にスタイルの確認をお願いしました。来週中には応募出来ると思います。こちらで研究費の申請をする場合は、NSCという台湾版JSPSみたいなものがありまして、そこのサイトにファイルをアップロードして、電子申請できます(この話はまた後日)。

それと、学科がウェブサイトを近いうちに更新するようで、理論生態学研究室の紹介文などを手短に書きました。

研究備品の追加発注もしましたが、どうやら入札やまとめ買いなどのルールがあるらしく、業者さんや事務とのやりとりをまだしている段階です。でも、オフィスがまだないので問題ありません。

あと一つ大事なのは、授業の打ち合わせでした。着任時期の関係で前期は自分のクラスの開講申請はできません。ただし、1年間に何コマ開かないといけないというようなノルマがあるので(新任に対する基準は緩いようですが)、他の人の講義やセミナーへの参加について話し合いました。その結果、前期は行動生態学(分担)と留学生セミナー(分担)に参加することになりました。後期も幾つかの分担授業があり、くわえて自分の授業を開講できるようです(この辺の話についても、また後日ご紹介します)。

あと、オフィスの電話番号も決まりましたので、新しい名刺を作りました。それからお世話になった方々に異動の挨拶メールをしました。その時、件名を入れ忘れるという失態をしてしまいましたが、返信メールでは、色んな人からお祝いの一言を件名に入れて貰えまして、恐縮です。この場を借りまして、改めまして、これまでお世話になったみなさまにお礼を申し上げます。今後とも精進していきますので、ご指導よろしくお願いします。

以下、いくつかのコメントへの返信です。

「名前が面白いですね」
成功というのはサクセスという意味ではなく(そういう意味もあると思いますが)、実際は、台湾の民族的英雄で台南を中心に活躍した鄭成功にちなみ名付けられた、ということらしいです(ウィキ)。なので、大学名の英語表記はSuccess Universityではなく、中国語の発音通りにCheng Kung Universityです。

「早く日本に戻ってきてね」
少なくとも数年は日本に帰らないかもしれません。台南は、台湾人にとってもなかなか住みやすい街のようです。夏は暑いですが、食事と自然に恵まれています。温泉とフルーツも魅力です。これも、八田与一さんのお陰で、台湾南部が一大農業地域になったからでしょう。あと、物価も安いのに、全国一律の国家公務員の給料で羨ましいと台北の人には言われます。

「また日本で会いましょう」
10月に大阪で開催される個体群生態学会に行きます。奨励賞をいただけることになりました。でも、研究費が無いので自腹参加です。お財布が痛い。

「国際共同研究をしましょう」
ぜひやりましょう。

「じつは、知っていました」
あなたが知っていたことを、私も実は知っていました。

Monday, August 5, 2013

こちらに来て1週間

まずやったことは、大量の書類への記入とサイン。いろんな部署に連れられて行き、いろんな書類を提出しました。猛暑の中、広いキャンパスを歩き回るのは参りました。大学のメールアカウントも貰いましたが、あまり使わないかもしれません。

それと、オフィスのデザインです。

タイダーでも同様でしたが、新任教員に割り当てられる部屋は、以前は空き部屋なのか、もしくは実験室なのかは時の運。どちらにしても部屋を研究室用に改築しないといけません。自分の場合は、以前は授業用の実験室で、ベンチや大きな機械がいくつもおいてあり、床もゴミが散らかっていまました。それらは不要なので全部取っ払ってもらい、床は木張り模様に張り換えてもらい、新品のデスクや本棚、コンピューターを注文しました。台湾ではそれ用の予算が一般的にあります。自分の場合、国から60万元、大学から35万元、加えて、大学内の競争的資金援助が10万元あって、うまくいけば100万元くらい使えそうです(1元=約3.3円)。ただし、着任後二ヶ月以内を目途に使わないといけないようです。理論系の自分にとっては、十分な金額です。でも、同時に着任された方がもう一人いて、その人は実験系なので、予算が足りず、こちらから援助を要請されています。

それと、研究計画を執筆しました。

こちらでは通常、12月末が研究費の申請の季節なのですが、新任教員に限っては8月から専用のグラントにいつでも出せる仕組みになっています。先月はその用意をしていて、3年分の研究計画をいつでも出せるように書いていたのですが、訳あって別のテーマで書き直すことにしました(これについてはまた後日)。新任用のグラントは国全体でトータルの予算が決まっていて、早く出すほうが審査が甘くて有利になるという話を聞いていて、早く出そうと準備をしました。

ただ、トラブルが起きて、週末にPCのHDがクラッシュしてしまいました。新しい計画書が全部消えました。大事なデータは全部バックアップしてあって大丈夫なのですが、作業中のデータが全部消えてしまいました。数日の努力が水の泡。。。でも、仕方ないので、思い出しながら計画書を何とか書き上げ、壊れたPCは修理に出して一日で回復(新品として再生)されました。

台湾に来てからの写真が全部消えてしまった (T ^ T)

Thursday, August 1, 2013

着任しました

8月1日付けて、国立成功大学生命科学系に助理教授として着任しました(こちらでは8月が年度の始まりです)。場所は、台湾南部の台南市にあります。

多くの旧跡が残り、現代的な都市景観と併存していることから、「台湾の京都」と呼ばれることがある。台南小吃(中国語版記事)で知られるグルメの町でもある
(ウィキペディアより)

台湾の名門と言えば、これまでお世話になってきた国立台湾大学。それに次いで、工学系の清華大学や交通大学がありますが、総合大学としては次に国立成功大学があります(もしくは中山大学;参照)。すなわち、日本でいうところの京都大学なのではないかと思います。そして、個人的には、何か縁を感じる場所・大学でもあります。

そういうわけで、これを機に新しくブログを立ち上げました。元祖台湾部→大石部→帰ってきた台湾部に続いて4作目です。今回は長く続くはずです。今は新生活の準備と、ラボの立ち上げ、研究計画などで忙しくて(というか、わからないことが多くて)、心の余裕があまりなく、しばらくは不定期更新になるかと思います。

本日は、さっそく新M1の学生が研究室訪問に来てくれました。学部ではバイオインフォマティクスを専攻し、大学院で生態学に転向を考えているようです。コンピューターだけで研究できる理論生態学の話をしたら「クール」と言っていました。

南部で理論系のコアラボを作るのが目標です。

今後とも、よろしくお願いします。